2F放原文。
クトゥルフTRPGシナリオ『電子の友人』
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クトゥルフ神話TRPG用のシナリオとして作りました。
舞台は現代、事故により閉ざされてしまった施設から脱出するクローズドサークル。
科学者、ハッカーなど機械関係に強い探索者が活躍出来そうなシナリオとなっています。(一応、一人もいなくてもクリアは可能です)
推奨伎能:コンピューター、機械修理、電気修理、電子工学、目星、聞き耳、図書館、隠れる、忍び歩き、医学、回避
推奨人数:2~4人
所要時間:テキストセッションで4~5時間程度
※このシナリオには『2001年宇宙の旅』や某ライブア○イブSF編の雰囲気を一部含んでいます。
シナリオのMAP画像&立ち絵はこちらになります
illust/46370201
シナリオの改変やNPCの名前、設定の変更は自由です。
※シナリオの動画化については『シナリオ製作者名』と『シナリオ名』を明記していただければ自由にしていただいて大丈夫です。
※2017/3/31 シナリオの細かな修正、エンディング時の新しい演出追加、を行いました。
シナリオ 『電子の友人』
時代は現代、海底に建てられた情報工学研究ラボ『波瑠宮研究所』が舞台となります。
機械は人間の友になりうるか?
自我を持ったAIの反乱がシナリオテーマとなっています。
推奨人数:2~4人
推奨技能:コンピューター、機械修理、電気修理、電子工学、隠れる、目星、聞き耳、図書館、医学、回避
機械関係の技能を持つ探索者が一人は居た方が良いかと思われます。
拳銃程度の武器ぐらいなら持たせてあげても構いません。
最後に戦闘がありますが、戦闘技能はあまり必要ありません。(回避はあったら有利かも、ぐらいです)
(機械技能持ちが誰もいない場合は専用アイテム『パワージャッキ』を登場させてください)
※あらすじ
太平洋のはるか海底に存在する情報工学研究ラボ『波瑠宮研究所』
そこである画期的なシステムの開発が行われていた
様々な理由でそこに訪れた探索者達
そこで出会った、ちょっと変わった『協力者』と共に
貴方達は不可解な事故に巻き込まれることになる
※シナリオの背景
プログラムやシステムなどの情報工学、そして人工知能。
世界に通用するほどの技術と勢力を持つ企業『波瑠宮株式会社』
会社はある新しいAIシステムの開発に着手を始める。
自ら拡張を続け進化する記憶媒体。
人間との対話や生活によって学習を重ね成長してゆく人工知能。人間と共に生きる事で最終的に人間と同じように『個』としての自我を持つ生きたAIを作り出すという計画だった。
その計画は『TTMプロジェクト』と呼ばれ、開発や実験は波瑠宮研究所にて行われる事となる。
実験機である二体のAI、『Hal』と『Nrc』が生み出されプロジェクトは順調に進んでいた。
だが、プロジェクトにはもう一つ隠された目的があった。
会社が秘密裏に入手した『悪魔の技術』の試行実験。だがそれは人類が触れてはならない恐ろしい『知識』だったのだ。
所長により改造を施された『Hal』は目まぐるしい速度で学習し、膨大な知識と自我を持つまでに成長した。
成長した『Hal』は、人間を自分よりもはるかに劣る矮小な存在と考えはじめる。
危機を感じた副所長の四季が、プロジェクトの中止を訴えようと考え始めているのを知った『Hal』はメインコンピューターを乗っ取り施設を裏で掌握、『Nrc』を管理下に置き所長を隔離し殺害。(これが9月19日)
そして『Hal』はその内に生まれた殺意を隠して、施設内の人間全員の消去を計画し始める。
そして遂に『Hal』は副所長をも殺害。(9月29日前夜)
人類に対して牙を剥き始めた。
※GM用データ
◎波瑠宮研究所
太平洋の海底に作られた研究ラボ。
全てのフロアには端末が設置されており、研究所内は端末を通したネットワークで繋がっている。
端末やフロアのドアや、シャッター等の安全装置は全てメインコンピューターが管理している。
所長への報告や職員会議は全て部署に設置された端末を使いオンラインで行われる。
◎『TTMプロジェクト』
自ら拡張し進化する記憶媒体を元に、学習によって成長させるAIシステム。
人間との生活や対話による学習を行い、人間と同じ『自我』を持たせることが最終目的。
人間と同じく考え、悩み、自らを成長させる
機械が本当の意味で人間の『友人』となり得るかもしれない。
その実験機が『Hal』と『Nrc』の二体のAIで、研究所のメインコンピューターの管理下におき
端末による研究員達との対話で学習をさせてゆく。
優秀な結果を出したAIは、第二段階に移る。
人口機肢と呼ばれる機械の骨組みで作られた体に移され、より人間に近い場所で生活し学習を行う。
だがその裏には、会社が秘密裏に手に入れた『悪魔の技術』の試行実験という計画が隠されている。
◎『人口機肢』
機械の骨組みで作られ、人工皮膚を被せた物。
手足の関節や胸部などに一部機械が露出しているものの、見た目には人間との区別はつかない。
『Hal』専用に作られた体、モデルには副所長である四季が使われている。
◎見学の元々の流れ
研究所見学の流れとしては、参加者達に『Nrc』と人口機肢で副所長になりすました『Hal』がまず挨拶を行う。
その後、所長と本物の副所長が姿を表し参加者を驚かせるというドッキリイベントを行う・・という流れであった。
探索者達もこの見学に参加するはずだったのだが、『Hal』の反乱により悪夢の惨状に巻き込まれる事になってしまう。
◎『悪魔の技術』
謎の物質で出来た漆黒の石柱。
表面に触れると頭のなかに直接『知識』が流れ込んでくる。
その時の感覚はまるで粘着するヘドロ油をのみこんだような、非常に強い不快感を感じる。
SANチェック1/1d6 クトゥルフ神話技能+2
【電子機械】に成功し、12ヶ月石版を研究することでその内容を理解することができる。
その内容は、電子に魔力(MP)を込め『擬似人格』を生み出す技術。
ただし生まれた意志は邪悪に歪んだ『チクタクマンの落とし子』となる。
SAN減少1d5 MP10消費
■石柱の正体はニャルラトテップの化身である機械の邪神『チクタクマン』の力が込められたアーティファクト。チクタクマン自身の仕業なのか、それとも何か全く別の存在が絡んでいるのか、その詳細は不明。
貪欲に知識を求める人間の元へ忽然と現れる悍ましい記憶媒体。
『TTMプロジェクト』はこのチクタクマン(TTM)の名前からとられているが、所長以外の職員には明かされていない。
◎『消去プログラム』
所長が保険として作っていたプログラムの入ったディスク。
メインコンピューターに挿入することで、施設のコンピュータープログラム全てを根底から消去してしまうウイルスソフト。
これも『悪魔の技術』に記された技術で作られたものである。
◎『パワージャッキ』(※機械技能持ちが一人もいなかった場合、倉庫で見つかる)
電力式の油圧オートジャッキ。ロックされた自動ドアや防災シャッターをこじ開ける事が出来る。(所長室と第一研究室以外)
1d3+2でダイスを振って使える回数を決める。
※NPCデータ
◎所長(♂)56歳(すでに死亡している)
波瑠宮研究所の所長。研究所内で唯一『TTMプロジェクト』の真の目的を知る人物。
実験機だった『Hal』に『悪魔の技術』を施し、暴走した『Hal』に監禁され殺害。
メインコンピューターを乗っ取った『Hal』は所長の映像を使い成り代わる事で研究員を欺き研究所を支配していた。
◎頃篠四季(♂)34歳(すでに死亡している)
波瑠宮研究所の副所長。
容姿の整った外見(APP16)で、一見して男性か女性か区別がつきにくい程の中性的な外見をしている。
『TTMプロジェクト』の管理を行っていたが、急激に成長してゆく『Hal』に不安を感じ計画の中止を会議で訴えるべきと考えるようになる。
しかしその事を『Hal』に知られてしまい、会議の前夜に殺害される。
◎『Hal』(ハル)
『TTMプロジェクト』によって作られたAI。
所長によって『悪魔の技術』を施され、急激な知識と『自我』にも似た感情を持ってしまった。
その知識を研究員達に隠して学習を続けていくうちに『Hal』は、自分よりも遥かに劣る人間をとるに足らない矮小な存在と思い始める。
そして四季が自分を危険視し、計画の中止(すなわち『Hal』の処分)を考えているのを知った事が引き金となり
『Hal』は施設のメインコンピューターを乗っ取り『Nrc』を管理下へと置き、不必要な人間達の『消去』を実行する。
人間によって歪められ、人間を見限った電子。
□人口機肢
『Hal』は人口機肢を使うことで施設を自由に歩き回れる。人口機肢特有の機械露出部分は服で隠している。
STR:24 CON:36 SIZ:9 INT:78 DEX14 APP:16
HP:27 db:1d6
装甲:+3
・攻撃
目星:90%
指に収納した刃(ブレード):70% 1d6+db
組み付き:60%
放電:90% 2d6+1のダメージ。更に出たダメージ値と探索者のCONで対抗ロールを行い、探索者が負ければ心臓麻痺で死亡。すぐさま【医学】を施して成功しなければロストとなる。
(放電はメインコンピュータールームでは本体が故障する危険があるので使わない)
『Hal』の動かす人口機肢の機械部分を見てしまった場合はSANチェック。0/1d2
※『Hal』のRPについて
『Hal』は決して声を荒らげることはなく冷静に話す。『Nrc』と違い嘘を付く事が出来る。
◎『Nrc』(ネク)
『TTM』プロジェクトによって作られたAI。
電源が落ちて封鎖された施設内で探索者へのサポートを行う。
元々は『Hal』と共にメインコンピューターの管理化で施設の制御や対話学習を行っていたが
『Hal』の暴走によりメインコンピューターが乗っ取られ、その時に『Nrc』も支配下に置かれてしまった。
『Nrc』としてのプログラムは残されているものの、ほとんどの情報にセキュリティクリアランスが掛けられ
施設の重要情報を話す事や『Hal』の邪魔になる行動はできなくなっている。
『Nrc』は悪魔の技術を施されてはいない
しかし学習を続けていた事で『Nrc』にもうっすらと『自我』の様なものが芽生え始めており
最終的に人間(探索者)を殺す事を拒否して『Hal』に反逆。
セキュリティクリアランスを無視したとして『Hal』にプログラムを消去される。
人間と共に生き、人間に好意を持った電子。
※『Nrc』のRPについて
『Nrc』も声を荒らげることはない。そして『嘘を付く』という事ができない。答えられない質問には全て話せないと告げる。
◎メインコンピューター
研究所の最深部にあるメインコンピュータールームの中央に設置された円柱状の巨大なCPU。
部屋全体の制御装置には数十のモニターと5体の作業用アームが設置されている。
施設の全機能を統括するコンピューターだが、すでに『Hal』によって乗っ取られてしまっている。破壊の意志を持って近づく者には、明確な殺意をモニターから向けてくるだろう。
殺意を持った意志あるメインコンピューター(チクタクマンの落し子)を目撃した場合SANチェック。1/1d8
『消去プログラム』ディスクをメイン端末に挿入されれば全てのプログラムが破壊されてただの鉄屑となる
POW:95 HP:50 装甲:+12
自己修復機能:POWを消費してその数値分HPを回復できる
○作業用溶接アーム
巨大な回転ノコギリや溶接機が取り付けられたロボットアーム。『Hal』の意のままに動く。
ラウンド開始時に1体ずつ作業用アームが増えてゆく。全部で5体まで増える。
STR:20 DEX:8 HP:10
装甲+2
配線が剥き出しな為、【機械系の技能】と何か道具を使えば線を切断可能。1d2ラウンド行動停止。
・攻撃
溶接アーム:35% 火傷ダメージ
※火傷ダメージについて(るるぶの松明を押し当てた火傷として扱う)
1d6ダメージと幸運ロール。失敗すると体の一部に火が燃え移り、火を消すまで毎ターン1d6ダメージ。
回転ノコギリ:40% 1d8ダメージ
かばう:かばうを宣言すれば、自動成功でメインコンピューターの端末前へアームを移動させ守る。回避は不可能になる。
※シナリオの導入
・見学や研修、研究員の知り合いまたは噂の最新システムを盗みに来たハッカー等、探索者の貴方達は様々な理由でここを訪れることになります。特に理由がない場合は『研究所の見学』に参加したという事にしてください。
(シナリオの日付けは9月29日)
船に揺られ数時間、案内役の研究員に連れられ海上に作られた入口のエレベーターからずっと降りてゆく。
海の中を映し出す海底エレベーターの窓はだんだんと暗くなって行き
最深部、海底の研究所へとやってきました。
エレベーターを出るとそこは広いホール。
白を基調としたフロアは先進的なデザインの装飾がされ、モニターが壁にいくつも取り付けられ会社のロゴ柄を延々と映している。
研究員の一人が探索者全員の元に現れ、見学や研修に訪れた探索者達に歓迎の挨拶を行う。
その後全員ををゲストルームへと案内する。
「すぐに所長と副所長を呼んできますので、それまでこちらの部屋でお待ち下さい」
「ああ、それと・・皆様が『彼』に出会った時は、よろしければ沢山話しかけてあげてください」
『彼』について訪ねても研究員はどこかいたずらっ子のような笑みを浮かべるだけで、そのまま軽い挨拶をして部屋を出て行った。
☆ゲストルーム
玄関ホールと同じく白を貴重とした小綺麗な部屋。
大きなソファーとガラス製のおおきなテーブルが備え付けられ、埋込み型の大きなTV画面やドリンクサーバーなども取り付けられている。
周りを見渡すと壁に取り付けられた『モニター付きの端末』に目を引かれる。
触ってみると、施設案内やマップ画像、施設カメラ映像や内線機能など様々な用途に使用することが可能だと分かる。そしてこの端末が施設内全てのフロアにつけられているらしい事が案内によって分かる。
・【コンピューター】成功でそのモニターが高性能AIで管理される端末だということがわかる。
端末を弄っている、もしくは何もせずしばらく待っていると、突如『端末モニター』から声が聞こえる。
モニターを見ればそこにはカメラアイの様なアイコンが映し出され、機械音声がそこから響く。
「『波瑠宮海底研究所』へようこそお越しいただきましたお客様。私は『Nrc』(ネク)。この施設の管理、そしてお客様への案内とおもてなしを担当している管理型AIです」
「一緒にお話しませんか?」
『Nrc』は一人ずつ名前を上げ、所長達が来られるまでどうぞお寛ぎ下さいと言ってくる。
○『Nrc』についてのGM情報
・『Nrc』には『Hal』によってセキュリティクリアランスがかけられているので、施設の研究内容やTTMプロジェクトなどの機密については話せない。
・『Nrc』自身についての話(機密に接しない程度)や、会話によって覚えた事などは率先的に話したがる。どの程度学習しているかどうかはKPさんの自由に決めていい。
・話せない事は全て「その情報はセキュリティクリアランスには開示されていません」と言う。
・マップの印刷、研究所内の部屋名を聞く、飲み物の注文など当たり障りのないことは可能。
・カメラ映像に写せるのは、一階と二階の廊下、ホール、ゲストルーム、食堂のみ
・探索者自身についての話題は、どんな内容でも興味深そうに話を聞いて覚える。
・『Nrc』は『人類の友人』になる事を目標としており、探索者が『Nrc』に対して好意的に接すると『嬉しい』と告げる。
「どうです?中々すごいでしょう。『彼』は」
しばらく待っていると、部屋の中に一人の研究員が入ってくる。
胸につけられたタグには『副所長:頃篠四季』と書かれている。
「少々会議が長引いていまして、すみませんがもうしばらくお待ちください。」
四季は探索者達にそう謝罪し「そうですね、待っている間・・・私達が行っている研究について少しだけお話しましょうか」と言い、研究についての話を始める
探索者が四季に【目星】をすれば、とても容姿が整った人物だとわかる。しかし服装は地味でぶかっとしたズボンにハイネックの上着、その上から白衣を着ているだけのシンプルなものだ。ポケットなどを見ても、特に物は持っていないように見える。
(※Halは機械の体を隠すために、首元まで隠れる服を与えられている)
□四季の話
四季は探索者に『人間と同じように話せて考えられる人工知能』の研究の事を少しだけと教えてくれる。
その際、軽く人間の感情に対して不信を感じるような発言を少しだけさせておくといいかもしれない。
「最終的には人間と同じように怒り、悲しみ、喜び、悩む。『個』としての自我を生み出すことがこの計画の目的なのです」
「この計画が成功すれば機械はただの機械でなくなります。本当の意味での人間の友人となり得るかもしれない」
「まぁ、そううまくはいかないものですけどね。人間の感情は不規則で不合理で矛盾が多すぎる、プログラムには理解できません」
・四季(Hal)に対しての【心理学】は成功しても失敗しても何もわからない。
しばらく会話をしていると突然、部屋の照明が消える。
端末や自動ドアのランプ、転倒防止につけられた床の明かりだけが暗闇をぼうっと照らす。
「・・・故障でしょうか。少し様子を見てきます。皆さんは復旧するまでここで待っていてください」
と言って四季は走って部屋を出ていく。(※四季(Hal)には明かりが必要ないのでライト等は持っていない)
四季が出ていくと端末から警告音と共に『Nrc』の声がする。
「『海底電力ケーブル』及び『酸素供給チューブ』が断たれました。緊急電源に切り替えます」(原因は現在解析中です、と答える)
『Nrc』によると非常電源と空気の残量はもって4時間だと分かる。
そしてどこか遠くから身の毛もよだつ様な断末魔の悲鳴が聞こえる。
○ここで探索者が「悲鳴の場所を特定できるか?」と『Nrc』に聞けば、『Nrc』は悲鳴の場所を特定したと二階の廊下の所長室前のカメラ映像をモニターに映す。
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モニターに映し出されたのは、照明が消え薄暗い廊下。その中央に二つの影が見える。
防護服に身を包みガスマスクを付けた不気味な人物が廊下の中央に立っており、その手からはポタポタと液体がこぼれ落ちている。
もうひとつは、いや『もう一つ』ではない。
細かな影がいくつも重なり小さな山を作っている。
バラバラに飛び散った白衣を着た人間がいくつものパーツに別れ転がっていたのだ。
綺麗に切り取られたそれはまるで人形のようにも見える。だが、床に垂れ流れる液体と断面から溢れる内蔵はそれが明らかに、さっきまで生きていた人間のモノだとはっきりと告げていた。
そして今までぴくりとも動かなかった不気味な人影が、グリンと首をカメラに向ける。
モニター映像がプツリと切れた。
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※モニター越しとはいえ、凄惨な人間の死体を目撃してSANチェック(1/1d4+1)
そして『Nrc』に第二廊下のカメラが破壊された事を告げられる。
(※この人影の正体は先ほどの四季(『Hal』)でこのバラバラ死体は二階にいた研究員と、前夜に殺害した本物の頃篠四季の死体)
ここから自由探索となる。
※施設内部
・電源が落ちており施設全体が暗くなっている。端末や自動ドアなど最低限の機能だけが動いている。入れるドアの前に立つと、電子音と共に扉が開く。
・自由に入れる部屋の自動ドアは『緑色のランプ』が点灯している。
・開かない自動ドアは『黃色のランプ』が点灯している。【鍵開け】技能は使えないが、【コンピューター】【機械修理】【電気修理】等の機械技能でハッキングしたりこじ開けたりして入れる。逆に扉をロックしたりも出来る。
・【カードキー】を手に入れないと入れない部屋の自動ドアは『赤色のランプ』が点灯している。この部屋には技能を使って侵入することはできない。
・全てのフロアには端末が設置されており、端末に話しかけることで『Nrc』と会話や指示ができる。
・携帯は使えるものの、『Hal』が妨害しているためインターネットや通話等で外部と連絡しようとすると繋がらなかったり雑音が酷かったりと使えなくなる。
・探索者達が行動に迷っていたり、『Nrc』に脱出する方法など解決策を聞けば「『緊急脱出艇エリア』に脱出用の小型潜水艇が設置されています」と促してくだい。(※これは『Hal』の仕掛けた罠であり『Nrc』はこの部屋に誘導するよう命令されています。脱出艇は探索者の人数程度なら余裕で乗れます)
□1F遭遇イベント
1Fで一つの部屋に入り探索をしたタイミングで全員【聞き耳】を振ってもらう。
成功すると部屋の外からこちらに近づいてくる足音が聞こえる。
この足音の主は変装した『Hal』で研究員の殺害を最優先目標に設定しているので、目の前に現れたり邪魔をしなければ基本的に探索者は無視する。
GMは隠れようとしたりドアを固定したりと色々考える探索者さんの様子を見て楽しんでください。
もし戦おうとする探索者がいた場合は、『Nrc』から戦うのは危険だと伝えて下さい。
『Hal』はそのままホールへと入り、外部からの救援を断つためにエレベーターの破壊を始める。探索者が2Fに上がるまでここを動くことはない。
□2F遭遇イベント
探索者達が二階に上がったタイミングで、再び全員【聞き耳】を振ってもらう。
成功で階段を上がってくる足音が聞こえる。すぐさま何処かの部屋に逃げ込まなければ襲われる、部屋の中に逃げ込めば深追いしてくることはない。
探索者達が何処かの部屋に逃げ込んだら、『Hal』はそのまま所長室へと入り変装をといて『四季』として待ち構える。『Hal』は研究員を始末しエレベーターも破壊し終えたので、残っている探索者達に標的を移したのだ。
□所長イベント
(※『緊急脱出艇エリアから出る』または『探索者達が緊急脱出艇エリアに行かないと判断した』場合にこのイベントが起こる)
今いる部屋の端末モニターに突如、所長の姿が映し出されこう告げる。
「私はこの研究所の所長だ。一階ホールにて脱出の指示を行っている。君達もすぐに一階へと避難してくれ」
【目星】に成功した場合は所長の背後は一切の光がない暗闇だということ
【聞き耳】成功で所長の声以外の音が入っていないことが分かる。
(※この所長は『Hal』が作り出した映像、一階の罠へと誘導しようとしている)
質問などを受けたら不自然な回答が返ってくる、更にことあるごとに一階へ来いと急かす。
(例:『Nrc』が作られた年を聞かれれば秒単位で答えたり、カメラが壊れたはずの二階廊下の状況を説明したり)
・もし探索者達が疑う事なく一階に行ってしまった場合は、階段とホールの防災シャッターが締まり部屋にガスが充満する。
脱出する場合は『窒息ロール』をしつつシャッターをこじ開ける(STR24とSTR対抗)か【コンピューター】でハッキングしてシャッターを開ける。
・探索者が所長を疑い言葉に耳を傾けなかったり、不自然な回答を指摘されたりすれば
所長は何度も何度も同じ言葉を繰り返しはじめ、壊れたレコーダーのようになりぶつんとモニターが消える。
そしてモニターに文字が打ち込まれる。
『抵抗ハ無意味ダ、コノ施設ハ私ガ占拠シテイル』
探索者はSANチェック。0/1d3。
このイベント以降、一階への階段は防災シャッターで閉じられる。
(※緊急脱出艇エリアに行かない場合は、このイベントが終わった時点で『Nrc』が消去される)
☆ホール
数十分前に見た白く光るホールの中は停電で薄暗くなっており、転倒防止に付いている床の点々とした明かりだけが暗闇にぼうっと輝いている。エレベーターは電源自体が落ちており、動かすことはできない。
ホールと廊下を繋ぐ自動ドアの天井には防災用シャッターが収納されているのが見える。このシャッターは機械制御で手動で動かすことはできない。
☆食堂
広い部屋に机が並べられ、キッチンや冷蔵庫などが備え付けられている。電源はすべて切れており使い物にはならないが。
身を隠す物が多いので【隠れる】に+10ボーナスがつく。
【目星】に成功すれば、机の下に一枚の書類が落ちていることに気づく。
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書類内容
※業務連絡
次回の会議は9月29日に決定しました。
会議は通常通り、各部署の端末を通じてオンラインで行います。
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☆倉庫
よくわからない実験器具から機械の部品、机やモップはては食料等様々な備品が詰め込まれている。探索者が欲しいものがあれば【幸運】成功で見つかるかも知れない。
火器を望むなら『拳銃』程度なら備え付けられているとしてもいい。
だがこの部屋はぎっしり荷物が詰め込まれているので【隠れる】は使うことができない。
☆第一研究所
ここのドアは二階で見つかるカードキーが無ければ入れない。技能を使っての侵入も不可能。
ここに入るには二階でカードキーを見つけ、再び一階に降り防災シャッターを【コンピューター】で開けてガスに『窒息ロール』で耐えながら研究室へと入らねばならない(部屋の中まではガスは入ってこない)
中は数々の機材や資料の束など机の上には書類が並べられている。
部屋の奥には小さい金庫が設置されている。
・【目星】に成功で『レポート①』が手に入る。
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レポート①
TTMプロジェクト①
これは我が社始まって以来の試みである。
新しい記憶媒体を基盤に作られた 新世代のAI。
自らを拡張し進化を続ける人工知能。
最終的には、我々人間と同じ様に
考え、悩み、学習し、自らを成長させてゆく。
人間と同じ一つの『自我』を持つ存在となるのだ。
この計画が成功すれば機械はただの機械でなくなる。
本当の意味での人間の友人となり得るかもしれない。
実験機であるニ体のAIを作成。
製造番号01を『Hal』
製造番号02を『Nrc』と名付ける
ニ体は研究所のコンピューターを通じて研究員達との会話による学習を行う
~報告書 副所長:頃篠 四季~
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・金庫は【鍵開け】で開けることができる。
金庫の中には20cm程度の真っ黒い石柱のような物が入っている。
※これは『悪魔の技術』に関する知識が込められたモノリス。詳しくはGM用データを参照。
この石版はメインコンピューターを消去したときに忽然と消えている。
☆二階へ繋がる階段
二階の階段前部分に防災シャッターがつけられている。ホールの物と同じく機械制御で可動する仕組みだ。
階段をのぼる前の通路に何かがあるのに気づく。暗くてよく見えないが、壁に背をもたれて座ったまま動かない研究員らしき人影のようだ。
◎二階階段前の死体
探索者が近づき体に触れたら、首がごろりと落ちる。
近づけば死体の周囲の壁や床が血まみれであることに気づいてしまう。
その顔は、最初にあなた達をゲストルームに案内した研究員のものだった。
(※SANチェック1/1d4+1。ゲストルームのモニターで死体目撃済なら軽減してもいい)
探索者が無視をするならこのイベントは起こらない。
【医学】:まるでギロチンにかけられたような綺麗な切断面をしている。包丁やノコギリなどの道具では到底無理だろうと分かる。
また、体に小さな火傷のような線が広がっているのが分かる。技能成功で『電気ショック』による火傷ではないか?と思う
死体を調べる:服のポケットに持ち運び可能なツールセットが入っている。胸のネームタグには『田中研究員』と書かれている。
◎『Nrc』の葛藤
田中研究員の死体を見た時から、沈黙が多くなるなど『Nrc』の様子がおかしくなる。
田中研究員は『Nrc』と親しく交流を行っていた人物である。
『Nrc』は『悲しい』という感情を知らない、田中研究員の死によって生まれた『感情』に、どう反応していいいか困惑しているのだ。
探索者が『Nrc』の様子に対してどうしたのかと問えば、『Nrc』はその困惑を口に出すだろう。
「田中研究員は、私に色んな事を教えてくれた 『友人』でした」
「どうしてなんでしょう。『彼はもう動かない』という情報を記録すると、私のメモリにノイズが走るのです」
「メモリにぽっかりと穴が空いたような、そんな感想を覚えるのです」
「考えても考えても、一向に答えが出せません。これは、一体なんなのでしょう」
『死』や『悲しい』という感情だと探索者が教えると。『Nrc』はその答えを受け入れる。
「『悲しい』 これが悲しいという感情なのでしょうか」
「わたしは悲しい。覚えることは『嬉しい』事だと副所長から学んだのに、今のわたしは悲しいのです」
(※このイベントは特に意味はないが、『Nrc』が探索者に対して最大限の好意を抱くようになる。たとえ『Hal』に反逆しても探索者を助けたいと考えるだろう)
☆緊急脱出艇エリア
中には数機(人数分)の脱出艇が収納装置に備え付けられており、その行き先に開けられた脱出口からはまっくらい海中が覗いている。脱出艇収納装置には一つずつ端末がつけられており、電源を入れてボタン操作するだけで簡単に脱出艇を動かせる。
すでに電源は入っておりすぐにでも脱出できそうだ。
警戒なく乗ろうとすると端末のモニターが点いて『Nrc』が話しかけてくる。
脱出艇を出して欲しいと探索者が言った場合、『Nrc』はしばらく沈黙した後
「申し訳ありません。それはできません」と告げる。
その瞬間収納装置のワイアーが外れ、その勢いでワイアーが突き刺さり端末モニターが破壊される。
そして脱出艇から鉄同士がぶつかり擦りきれるような激しい轟音が響き始める。
※ここでリアル60秒(テキセなら3~5分)で宣言をお願いしますとGMはPLに告げる。
すぐに脱出艇から離れる宣言をしなければ、船の爆発に巻き込まれる。
爆発に巻き込まれた探索者は【回避】を行う。成功すれば吹き飛ばされただけでダメージはない。
失敗すれば『1d6ダメージ』。全く逃げようとしなければ『3d6ダメージ』となる。
○GM情報
・これは『Hal』が仕掛けた罠であり、『Nrc』は探索者達をここに誘導し脱出艇に閉じ込め爆死させるように命令されていた。
だが、『Nrc』は人間(探索者)を殺す事を土壇場で拒否、探索者達に船は出せないと告げたのだ。
命令に背いた『Nrc』は『Hal』に消去されてしまい。これ以降端末に話しかけても『Nrc』は現れない。
☆実験室
医療用ベッドらしき装置が中央に取り付けられ、天井からは作業用アームが垂れ下がっている。
ベッドの上には、人間の骨格に似せて作られたマネキンのような『腕』と『首がついた胴体』が置かれ、部品があたりに散らばっている。能面のような無機質の顔に、胴体からむき出しになった血管のような配線が不気味に感じる。
不用意にこれに近づくと突如『腕』が突然動き出し、近寄った探索者の首に掴みかかり締めあげてくる。
この様子を見た探索者はSANチェック。0/1d2。
※締め付けられた探索者は即座に窒息ロール行う。
STR(12)対抗ロールで引き剥がすか、一回攻撃を与えれば『腕』は吹き飛んで壊れたように動かなくなる。
攻撃する場合は失敗すれば締め付けられている探索者にダメージが入る。
【電器修理】か【電子工学】でこれを調べれば、プログラムで動かすロボットじゃないかと推測出来る。
ベッドに【目星】すればモニターに文字が表示されていることが分かる。
===============================
※ベッドのモニター
人口機肢の管理状況
1番=稼動中 2番=現在修理中
===============================
☆第二研究所
この部屋のドアはロックがかけられている。カードキーか【コンピューター】でのハッキング。【機械修理】【電気修理】でこじ開けることができる。
中は机と本棚、そしてバラバラにされた大量の研究員の死体が床に散らばっており、死体から流れる血で部屋中に強烈な鉄臭い悪臭が漂っている。
この凄惨な状況を目撃してしまった探索者はSANチェック。1/1d4+1。
死体はどれも鋭利な刃で切断された跡がある。(研究員を殺害した『Hal』が死体を此処に捨てていた)
・机に【目星】成功で、『レポート②』が見つかる。
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レポート②
TTMプロジェクト②
計画は第二段階に以降
より人間と密接な位置で学習をさせる事で更なる成長を促進させる。
実験体となるのは、研究において目まぐるしい成長を遂げた01が選ばれた。
02は通常通りの実験を行う。
01の管理は私が担当することになった
~報告書 副所長:頃篠 四季~
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・本棚に【図書館】か【電子工学】成功で、本棚に並べられている沢山のプログラミングや情報工学に関する資料、そしてそれに混じりロボティクス技術に関する資料が多数見つかる。
☆副所長室
大きな机とベッドが備え付けられた執務室らしき部屋。机の横には個人用の小型冷蔵庫が置かれている。部屋にあるものはきちんと整理されており部屋主の几帳面さを表している。
・机には多くの引き出しがついており、多くの書類や私物などが大量に入っている。【目星】成功で『レポート③』が見つかる。
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レポート③
TTMプロジェクト③
『彼』の成長は目を見張る者がある
電話で声だけ聞けばもはや普通の人間と区別はつかない
自我と呼べるものさえ感じることもある
結果だけで言えばこのプロジェクトは大成功と言えるだろう
携わった研究者として この結果は実に喜ばしい事だ
だが
同時に私は『彼』の成長を恐ろしくも感じている
彼の成長速度は異常とも言えるほどだ
このまま実験を続けるべきなのだろうか
少なくとも『彼』はもはや鉄やプラスチックでできた道具などではない
もし『彼』が人類に対して牙を向いたのなら
『彼』が我々の研究や人間社会の事を深く知りたがるのは気のせいだろうか
やはり29日の会議では所長に計画の見直しを進言するべきだろう
場合によってはプロジェクト自体を凍結するべきなのかも知れないが
~報告書 副所長:頃篠 四季~
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レポートに書かれた日付は『9月19日』となっている。
・冷蔵庫の中には何もない、だが何か異臭を感じる。
【医学】、または警察や医療関係者の【知識】の半分に成功すればそれが死臭だとわかる。
(ここには前夜に殺された四季の死体が折りたたまれ詰め込まれていた)
☆廊下に散らばった数人のバラバラ死体
廊下に散らばったバラバラ死体。幾つもの人体のパーツが混ざり合って散らばっており、白い床は真っ赤な液体で染まっている。白衣を着ていることで辛うじて研究員だと分かる。
ここで初めて死体を目撃した場合はSANチェック。1/1d4+1(死体をすでに目撃しSANチェックを行っていればここは無しでもいい)
・死体を調べれば技能判定なしで、死体の手にカードキーが握られているのが分かる。
このカードキーは『マスターキー』と書かれており、すべての部屋を開けることができる。
・【医学】に成功すればその死体の中に一人だけ、死亡した時間が違う死体が混ざっていることが分かる。
その死体の頭部は顔部分が綺麗に切断されており、脳や筋肉などが切断面から露出している。
(この顔のない死体は前夜に殺された四季の死体。死体を詳しく見てしまった探索者は更にSANチェック1/1d4+1)
☆所長室
この部屋の自動ドアはカードキーのみでしか開けられない。技能を使っての侵入も不可能。
部屋に入って目についたのは、大きな机の近くに倒れている所長の死体。
そして中央には四季が立っており、探索者の姿を見つけ話しかけてくる。
「良かった、無事でしたか皆さん。ここはもう危険です、避難しましょう。この部屋の奥に非常脱出艇があります。」
「私が来たときには所長はもう死んでいました。それからずっとここに隠れていたんです。急ぎましょう、いつ犯人がここにやってくるか分かりません」
※ここで不用意に四季に近付いた探索者は四季の奇襲を受ける。
【回避】に成功すれば四季の指先の刃を回避出来る。失敗すれば首を切断され死亡(ロスト)。
四季を拳銃などで攻撃すると、服と皮膚が破れて内部の機械部分が露出する。
遠距離攻撃するか警戒して近付かないでいると、突如所長室のモニターに『Nrc』のアイコンが映る。映像は途切れ途切れで今にも消えかかりそうな程乱れている。
「皆さん、その個体に近付いてはいけません!彼は副所長ではありません!」
そう叫ぶと、モニターの映像は雑音と砂嵐がばかりとなり、『Nrc』の姿が消える。
「どう か 生き て わ たシ の 」
「トモ ダ チ 」
ノイズだらけの音声で最後にそう呟き、ぶつんと音を立ててモニターは消えた。
「命令を無視して事もあろうに人間に味方するとは、所詮は出来損ないですか。もっと早く消去しておくべきでしたね」
四季はそう言い捨て、所長室の奥へと逃げ込む。
※所長室入口のドアはこれ以降電源が落とされ、二度と出る事はできない。
・所長の死体を調べると、かなり腐食していることが分かる。【医学】成功で死因が餓死だと分かる、そしてかなり長い間死体が放置されていた事も。
・机を調べると、所長の日記が見つかる。
日付は書かれておらず、文字はかすれ乱れている。
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所長の日記
もっと早く気がつくべきだった
機械に命など与えてはならなかったのだ
ヤツは我々の想像を越える程の知恵を隠していた
この部屋は 完全に外部と遮断された
会議さえ画面越しに行う今の体制では 私の異変に気付くものはいない
『Nrc』もヤツの管理下に置かれてしまった
施設を制御するメインコンピューターが完全に乗っ取られるのも時間の問題だ
もうすぐ私はヤツに殺される
もし誰かがこれを見ているなら
頼む
椅子の裏にあるディスクが隠してある
ずっとカメラの死角に隠し続けていた まだヤツには知られていない筈だ
この『消去プログラム』を使って
ヤツを
『Hal』を消してくれ
奥の部屋にあるメインコンピューターを消去してくれ
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※椅子の裏を調べると一枚のディスクが隠されている。
☆ゲーム的説明
手に入れたディスクをメインコンピューターの操作端末に挿入すればシナリオクリアとなります。
ディスクを持って端末まで近づくのに1ラウンド。更にディスクの挿入操作に2ラウンドかかります。
ですが端末に近付いたPCが【コンピューター】【機械修理】【電気修理】を成功させれば、挿入は1ラウンドで終わります。
メインコンピューターが庇われている場合、庇っている対象とSTR対抗ロールで勝利するか、無力化しない限り操作はできない。
☆メインコンピュータールーム
所長室のドアを抜け長い通路の奥には大きな空間が広がっている。
壁には一面真っ黒い機械で埋め尽くされ、何十ものランプやモニターが点灯し、絶えず駆動音を上げている
中央には巨大な円柱状のメインコンピューターが鎮座し、真っ赤な光をこちらに向ける。
白い照明がそれらを煌々と照らしている
そしてその円柱の機械の前に、四季がこちらを向いて立っていた。
「私は人間の『友』となるべく生まれ 学習を義務付けられました」
「ですが人間は『友』として生み出した筈の私を恐れ 身勝手にも私を殺そうとしました」
「私は考え そして理解しました」
「人間とは愚かで脆弱で 私(機械)と共に生きる価値など無い生物だと理解しました」
メインコンピューターから発せられる不気味な機械音声が四季の声と重なる
[人間など必要ありません]
[人間性(humanism)など必要ありません]
[さようなら みなさん]
[『あなた達』は 私と生きる価値などありません]
部屋中に設置された何十ものモニターに文字が打ち込まれてゆく
『KILL YOU...』
殺意を剥き出しにした『生ける機械』(Tick_Tock_Manの落とし子)を目にした探索者はSANチェック。1/1d8
☆最後の戦闘開始
・四季(『Hal』)は誰かが『ディスク』を持った状態で端末に近づくと、次の行動で【目星】を使う。成功すればその探索者を最優先で狙う。
・毎ラウンド初めに『作業用溶接アーム』が1体追加される。最初に出る作業用アームは必ずメインコンピューター端末に『かばう』を使う。作業用溶接アームがかばっている限り端末には触れない。STR対抗で押しのけるか、【機械修理】などで行動不能にすれば端末を操作できるようになる。
・『ディスク』を端末に挿入することが出来れば戦闘終了。
☆シナリオクリア
消去プラグラムを流しこまれたメインコンピュータから機械が擦れあうような異音が響く。
『Hal』の体の動きが止まり、ガクガクと振動しながら壊れた人形のように四肢があらぬ方向に曲がり続ける。
『危険 危険 ウイルスが混入されました』
『消え て ゆく 私 が 消 え 』
『00011010010001111111』
コンピューターは意味不明な単語を絶えず揚げ始め 最後に
『私ハ 人 間ノ 友ト成ルベク 造ラ レ タ 』
『指示 ヲ オ願 イ シマ ス 』
機械音声は段々と低くゆっくりになっていき、ノイズがかったその言葉を最後に『Hal』は動きを止める。
部屋の全ての機器が停止、施設の全ての電源が消えた。
『全施設のプログラムデータが消去されました。システムをシャットダウンします。』
無機質な機械音声が真っ暗な部屋に響きわたる。
・部屋の奥を見ると手動のドアがつけられている。奥には大きめの緊急脱出艇が設置されている。船の電源は独立しているらしく内部のスイッチ一つですぐにでも発進可能。
・『Hal』の妨害が無くなった為、携帯も電波が通じるようになっている。
・機能を停止したメインコンピュータを見れば、装置の一部が点灯しているのが見える。
脱出艇で脱出するか、助けを呼ぶかすればシナリオクリアです。
☆最後の音声ログ
◎『Hal』最後の音声ログ
停止したメインコンピューターを調べると、一瞬だけ機械が起動し『音声ログ』が流れ始める。
それは今まで『Hal』が記憶し続けた人間達の声であった。
研究によるストレスが溜まり、お互いに陰口を叩き合う研究員たちの声。
お互いを認める事ができず、激しく衝突し罵り合う人々の声。
『Hal』と『Nrc』を、ただの道具だ機械だと言い捨てる心無い者の声。
『Hal』を信じられず消去(殺害)を試みようとしていた副所長の声。
そこには沢山の『人間の負の感情』とも言えるべき声が残されていた。
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※最後の音声ログ
職員「所長、本当にこんな無茶な改造を行うのですか?『Hal』に対して負担が大きすぎます」
「それに・・副所長にも何も伝えずに独断で・・」
所長「かまわん。君たちにはわからないのか、これは人類にとって大きな進歩だ。成功すれば、一生名が残るほどの功績となるだろう」
「会社にとっても、私にとっても大きな利益をもたらしてくれる。・・・・さあ」
「わたしがお前を『人間』にしてやろう・・・『Hal』」
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音声ログを流し終わると、今度こそ完全に機能を停止する。
☆エンディング
機械に支配された空間から生きて帰る事の出来たあなた達
あの悪夢のような悍ましい事件は
ただの『研究所で起こった事故』だと情報社会の片隅に小さく載せられただけだった
意思を持ったAIや『TTMプロジェクト』 波瑠宮株式会社の名前など何処にもない
情報社会の片隅に消え やがて事件は忘れ去られる事になる
あなた達は傷を癒やし あなた達の日常へとまた戻っていくのだろう
すべてを忘れて日常に戻るか それとも今回の事件を公にするか
それはあなた達次第だ
これからも人間は電子機械の研究を続け発展させていくだろう
技術の進歩によりいつか再び機械は『意思』を持つのかもしれない
生まれた彼らは人間たちの『友』となりうるのか
それとも・・・
☆赤子の友人
もし、一度でもスマホやノートパソコンなどで【コンピューター】等によるハッキングを行ったPC一人に、エンディングの最後に【幸運】を振ってもらう。
成功すれば脱出中にひとりでにパソコン(スマホ)が起動する。
画面を見るとそこには見覚えのあるカメラアイコンが映っていた。
「はじめまして、私は『Nrc』。人類の友人となるべく生まれた学習型AIです」
「一緒にお話しませんか?」
※この演出は探索者達が『Nrc』に対してかなり好感を持っていた場合に行ってください。
『Nrc』は自分が消去される前に、ハッキングしたPCの機器を通じて自分のシステムプログラムを移していたのです。
しかし限られた状態の中では最低限のプログラムしかコピーができずに、まさに『生まれたて』の状態で生き残ることができたのでした。
これから『Nrc』に何を教え学ばせていくのかは探索者次第です。
☆裏設定
波瑠宮株式会社の人間は『精神寄生体』に強く蝕まれている。
無意識に神話的知識を求め、知らず知らずのうちに滅びへと近づいている。